当館のコレクションの中から、約3年ぶりにシャガールの版画集「ダフニスとクロエ」を展示致します。
その鮮やかな色彩で「色彩の魔術師」といわれ、現在もなお多くの人々に愛され続けているシャガール。
油彩と同様、版画作品も多く制作しています。
「ダフニスとクロエ」は、2‐3世紀のギリシアの詩人ロンゴスが書いた物語で、エーゲ海に浮かぶ美しい島レスボス島を舞台に、山羊飼いに拾われた少年ダフニスと、羊飼いの牧人に拾われた少女クロエが成長し、愛を育んでいく物語です。
その物語にシャガールが挿絵として42点の版画を制作し、版画集として出版しました。
季節を巡りながら進んでいくストーリーに沿って描かれた作品は、色彩豊かに彩られ、光に溢れたギリシアの風景を表しています。
シャガールは、この版画制作のためにギリシアを取材して廻りました。
その時に滞在したアテネ、ボロス島、オリンピアなどの風景や地中海の光は、シャガールに鮮烈な印象を残しました。
20色以上の色を用いて表現した物語は、色彩の魔術師と称されるシャガールの芸術が凝縮されています。
物語の持つ古代ギリシアの牧歌的風景と、シャガールの色彩が放つ、カラーリトグラフの明るく幻想的な世界をぜひご覧下さい。