いつか還帰る素材
私は自身の表現を助けてくれる素材として長年プラスチックを使ってきました。人工的な素材から自然のフォルムを作り上げるアンビバレントな表現はいつも自分そのものでした。しかし近年、プラスチックは「始末の悪いゴミ」として捉えられ、使うことがためらわれるような素材となりました。この展覧会は私の愛するプラスチックを時代に寄り添う素材へ近づける試みです。
私のプラスチックは水に弱く、気候に敏感です。食物で染める色は変色し、その色はいつか失われます。人も物も時間が流れるかぎり同じであり続けることはできません。私も、この作品たちのように変わってゆくことを受け入れながら時間の流れの中を漂いたい、そんな思いで日々作り続けました。
2022年1月 梅田香織