1874年4月、官展のサロンに対抗して、後にいう第1回印象派展が開かれた。明るい光と鮮やかな色彩の輝きに溢れた印象派の登場は、西洋近代絵画史上の一大画期となった。この印象主義の形成と展開に最も重要で主導的な役割を果たしたのがクロード・モネ(1840~1926)である。
モネは現在でも、日本及び世界でたびたび展覧会が開かれている。特に最近は現代美術の先駆の一人として、晩年のモネの睡蓮の連作が注目をあびているが、本展は第1回印象派展から130年を迎えるにあたって、最も革新的で意欲的な活動を展開した1870~90年代のモネに焦点を当てた。
即ち、1870年代の印象派展開催を含めた印象主義の成立期から、題材となる新たな風景を求めてセーヌ川沿いやノルマンディーの海岸を旅し、最後の印象派展(1886)の開催と、新印象主義の台頭をみた1880年代を経て、モネの印象主義が一つの頂点に達する1890年代の連作の時代までを、これまで日本では出品されることのなかった重要な作品を交えて取り上げ、改めて印象主義の主導者モネの本質と魅力をうかがおうとするものである。