新型コロナウイルスの世界的な感染拡大によって、わたしたちは自由な行動や表現だけでなく人と会うことまで制限されてきました。行きたいところに行き、歌を歌い、友だちと話をしながら食事をしたり、たくさんの人とともにイベントを楽しむ。それがどんなにしあわせで大切な時間なのかを実感しました。本展では、ちひろ美術館コレクションのなかから、お祭りやパレード、さまざまな楽器を奏でるコンサートなど、世界の絵本画家たちが描いた高揚感あふれる作品を展示し、集うことの尊さ、歌い踊ることのよろこびを見つめます。
茂田井武(日本)の「こんやはよみや」は、とうもろこしやあめ、おめんやふうせんの店がならぶ神社の宵宮を描いた作品です。お御輿をかついだり屋台に集まるのはいろいろな動物たち。にぎやかなおはやしや動物たちの会話も聞こえてくるようで、お祭りの熱気が感じられます。
荒井良二(日本)の『ユックリとジョジョニ』は歌とアコーディオンが得意な男の子とダンスが得意な女の子の出会いを描いた絵本です。本展では、音楽と踊りにあふれたこの絵本の原画を全場面展示するとともに、絵本から飛び出したようなインスタレーションも展示します。
ジョン・バーニンガムの『バラライカねずみのトラブロフ』より、ロシアにバラライカは三角形をしたロシアの代表的な弦楽器です。バラライカに魅せられたねずみがコンサートに出演する夢を見る場面です。困難を乗り越えて夢にむかうねずみの姿が爽快です。