ポートレート(肖像画・肖像彫刻)は私達にとって最も身近な絵画や彫刻の主題です。洋の東西を問わず古代から数多くのポートレートが描かれてきました。しかし20世紀になると写真の普及もあり、ポートレートは似せて描くことや記録といった役割から解放され、イマジネーション豊かに描かれるようになります。モデルとなる人物の個性や内面を見つめる画家の始点や独自の表現が注目されるようになったと言えるでしょう。描かれる対象も王や貴族などという身分の高い人物だけでなく、映画スターや歌手といった身近な有名人たちも描かれるようになり、現代のポートレートは、これまでの肖像画とはまた一味違う新しい主題として、拡張してきたと言えるでしょう。
本展では、現代、意欲的にポートレートに取り組む国内外の12人の作家を取り上げます。ピカソ、ダリ、デュフィ、ヴンダーリッヒ、ウォーホルの海外作家から、片岡球子、福田繁雄、久里洋二、柄澤斎、山本容子、籔内佐斗司、合田佐知子の国内作家まで、絵画、彫刻、版画の200余点をご紹介します。描かれる人物は聖徳太子、シェークスピア、孫悟空、マリリン・モンローなどなど、聖人や物語の主人公から俳優まで、現代ならではの幅広い顔ぶれです。画家達はどのようにモデルを見、表現するのでしょうか。誰もが知っている人物のポートレートを、現代の作家による多彩な表現でお楽しみ下さい