スタインバーグは単に面白さを狙ってドローイングを描いているかと言うとそうではない。地球上に存在する事物、あるいは言語、概念、数字、メタ・メッセージ等、目に見えないに関わらず、人間世界の中で暗黙に認識、了解しているものの、意味変換、概念変換に挑戦し、あらためて原初となる意味を確認し、世界に対してどの様に眼差しを注ぎ再考すべきかを、我々、見る側に迫ったものと言っていい。その中には、我々一人一人の存在の意味を問う、極めて重要な問い掛けも含まれているように、スタインバーグのドローイングは、実に刺激的な作品になっている。
[矢萩喜從郎]