江戸時代に大衆の娯楽として発達した浮世絵は、日本を代表する美術として世界的に有名です。しかし、美人画や風景画、役者絵などはよく知られていますが、子どもの姿を描いた作品や子ども向けの作品があることは、これまであまり認識されていませんでした。庶民の生活と風俗を描く浮世絵には子どもが登場することも多く、喜多川歌麿や葛飾北斎などの有名絵師を含む多くの浮世絵師たちが、子どもをモチーフとする作品を制作していたのです。
本展は、子どもに関わる絵画史料を収集しているくもん子ども研究所の収蔵品205点によって構成されます。版画や屏風絵、版本など、浮世絵の粋を集めたこれらの作品からは、当時の子どもの姿を見ることができると同時に、人々がいかに子どもに対して温かいまなざしを向けていたか、そしてその周辺にはいかに豊かな文化が根づいていたかを知ることができるでしょう。