■山本輝くんのこと 櫃田 伸也
山本輝くんはずっと風景を描いていた。愛知県芸の学部の卒制も大学院の修了制作も大学買上で、その頃から身近な風景が彼のフィールドである。絵画空間にプリミティブな形態を配置し際立つ色彩感覚で表現してきた。その構成がおもしろい。
特に2000年頃からの作品はど真ん中に空っぽをもってくるような絵なのである。要素はみんな画面の外にはずされている。
しかし彼のユーモアと豊かな色彩、確かな描写力が絵を楽しませてくれる。2013年以降は次第に再現的描写の船や家が絵の中心に配されて、具象とか抽象をこえて自由自在になってきた。
二つの世界が同居した明るいシュールレアリズムのようなイメージは、ゆっくりとのびのびと絵を強固にしている。(画家)