この度、東京画廊+BTAPでは李鎮雨の個展を開催いたします。弊社では、2017年に個展を行って以来、4年ぶり二度目の個展となります。
李鎮雨(Lee JinWoo)は1959年ソウル生まれ。1983年に韓国の世宗大学を卒業後、1986年に渡仏し、パリ第8大学造形美術学ならびにパリ国立高等美術大学(材料学研究)を卒業。現在はパリを拠点に活動しています。李はパリ留学中にイタリアのストロンボーリ島で火山の噴火を偶然目撃し、衝撃を受けます。その時の火山灰を持ち帰った李は、それをモチーフとした作品の制作を今も続けています。
李の作品の特徴は表面の質感と、その質感のもたらす黙想的な情緒にありますが、それは独特の制作法によって生み出されます。李は韓紙をキャンバスとして用い、その上に炭を乗せ、さらに韓紙を置いた後、表面を鉄のブラシで繰り返し叩いたり、引っ掻いたりします。この鉄ブラシの作業によって、画面には多様な質感の変化がもたらされます。砕かれて韓紙に染み込んだ炭の形と、また少ないときには数枚、多いときには数十枚まで重ねられた韓紙によって、凹凸のあるモノクロームの画面が作り出されるのです。
李によれば、このような作業は誠実な労働であり、自身に内在する「何か」を、「頭」または「脳」の介在なしに表出するための手段です。概念や思考の干渉を防ぐために、強度のある労働の繰り返しが必要とされるのです。
李の作品はフランスのパリ市立セルヌスキ美術館に収蔵されており、2015年から2016年に同館で開催された『Seoul-Paris-Seoul』展、2018年には『Escale coreenne』展で作品が展示されました。
本展では200号の大作を含め、新作14点を発表致します。皆様のご来場を心よりお待ち申し上げます。