視界に2つの領域が存在するとき、1つの領域は全体から浮き上がり、かたち(figure/図)になり、もう1つの領域は全体から退き、背景(ground/地)となる。
図と地の関係は、人の関心がどちらの領域にあるかで入れ替わり、私達の日常のあらゆる場面で確認できる。
例えば寺社に貼られた千社札は、そこが霊場であるため無数の札が貼られている場合が多い。
しかし、視点を変えれば無数の札が貼られている事で、そこは霊場として形作られているとも言える。
今回の展示では千社札をモチーフに、サイアノタイプの技法と独自の防染法を用いて、図と地が共有している輪郭線を部分的に破壊した。
2つの領域の境界線を曖昧にする事で、普段関心のない領域に焦点を当てる試みである。