明治時代後期から大正時代にかけて、富山県は何人も幕内力士を輩出する相撲大国でした。特に梅ヶ谷(うめがたに)と太刀山(たちやま)の二大横綱は、歴史に名を残す名力士で、いずれも現在の富山市の出身です。梅ヶ谷は、恵まれた体形を見込まれ、明治24年にわずか12歳で雷(いかづち)部屋に入門しました。今から130年前のことです。その後、順調に番付を上げ、同36年に横綱に昇進、常陸山(ひたちやま)とともに「梅常陸(うめひたち)時代」と呼ばれる黄金時代を築き上げました。一方、太刀山は相撲に興味がありませんでしたが、ぜひ弟子にしたいと考えた友綱(ともづな)親方が、明治の元勲板垣退助(いたがきたいすけ)に助力を求めて入門が実現したといいます。今から110年前の明治44年に横綱に昇進し、その後も4度の全勝、また43連勝の後、1敗を挟んで56連勝を記録するという大横綱だったのです。
本展では、この二大横綱を中心に、郷土富山出身の力士たちを紹介します。