遠藤彰子は長年にわたり精力的に活動し、全国の美術館で大掛かりな個展が開催されるなど、現在最も注目される洋画家のひとりです。
1947年に東京都中野に生まれた作家は幼少より絵に親しみ、武蔵野美術短期大学に学びました。1972年には女流画家協会展に出品した《楽園》がマツダ賞を受賞し、画家としてのデビューを果たします。この頃から素朴で童画的な要素を取り入れた「楽園」シリーズが始まります。この「楽園」シリーズは結婚を機に都内から自然あふれる相模原市に移ったことから誕生しました。その後、1970年代後半から「街」シリーズが始まります。この「街」シリーズによって洋画家・遠藤彰子の名は広く世間に知られるようになりました。1978年の林武賞(昭和会展)、1980年の女流画家協会賞(女流画家協会展)など受賞を重ね、1986年には「街」シリーズの探究を凝縮した《遠い日》(東京国立近代美術館蔵)で安井賞を受賞。画家としての評価を決定的なものとしました。
1989年からは500号(248.5×333.3㎝)をひとつの単位とする大作のシリーズが始まります。単眼の視点から多視点の構図へと向かい、螺旋構成など空間構成に様々な試行がなされています。また、神話的世界や物語性を内包した作品は、その絵画世界の壮大さによってみる者を圧倒します。2000年代に入ると、500号を結合し、1000号、1500号となる更なる大型作品を発表、その圧巻のスケールは作品の充実とともに高く評価されています。例をみないスケール感は見るというよりも体感する絵画とも言えます。
本展覧会では、この超大作を中心に本展のために描かれた最新作《黒峠の陽光》、また各時代の数々の代表作品をご紹介します。圧倒的な存在感と深い物語性を秘めた独自の遠藤ワールドをこの機会に是非お楽しみください。