私が2008年に手掛けたシスメックス彫刻庭園(神戸市西区テクノパーク)は豊かな自然のなかに15体の様々な素材による立体造形があるが、その中で坪田の「The wind of self」(150×210×30 marble 2008)は、柔らかな曲線が風を受け進むイメージを感じさせ、美しい緑の芝生のなだらかな斜面にゆったりと座す貴婦人のごとき佇まいだ。木を選び、石を選ぶ。イメージを削り出す。彫り刻む。色を選ぶ。個人意識のない関係構造の中に作品は立ち、空間を直截に決定する。坪田の今とこれからを見てみたい。 島田誠