動乱の戦国時代に終わりを告げ、泰平の世とも呼ばれる江戸時代が到来します。およそ260年も続いたこの時代は経済的余裕が生まれ、上層階級だけでなく庶民も文化の担い手となり、娯楽や学問、芸術が著しく発展していきました。
この度の展覧会では、江戸時代に深化を遂げた日本のやきもの文化を、三つの特徴に着目してご紹介いたします。
まず一つ目に磁器の生産が開始されたことが挙げられます。これにより九州を中心に高級品から日用品にいたるさまざまな製品が生産され、さらには日本を代表する輸出品へと発展していきます。二つ目は新しい絵付の技法が導入されたことです。多色の顔料を用いて文様を描くことが可能となり、洒脱な意匠のうつわが多く作られました。三つ目は茶陶に注目します。桃山時代の茶の湯では侘びた風情の道具が好まれましたが、江戸時代には装飾性の高い道具や華やかな舶載の道具も取り入れられるようになります。
本展では、サンリツ服部美術館の所蔵品のなかから約40点の陶磁器を展示いたします。成熟した時代に育まれた日本のやきもの文化に触れる機会となりましたら幸いです。