東京都写真美術館では、メルボルン大学の協力を得て、同大学教授ナタリー・キング氏との共同企画により「リバーシブルな未来 日本・オーストラリアの現代写真」展を開催いたします。
日本とオーストラリアは、それぞれ特有の歴史的背景や意識をもっています。しかしながら、想像をはるかに超える出来事が日々起こる現代では、私たちが国境を越えて共有できる経験や問題意識はますます多くなっています。このような現代の社会において、写真表現はどのような意味をもっているでしょうか。
写真は、過去や社会と密接に絡み合い、私たちの時間をゆるがし、個人の経験と社会構造をつなぐ力をもっています。本展の出品作品は、過去と未来、経験と未知、記憶と忘却、生と死など二項対立のものの間を行き来し、その循環から、新たな視座・可逆的な思考へと導いてくれます。二国の作家たちの写真・映像表現をご高覧いただくとともに、本展が私たちの未来を考察する一助となれば幸いです。