一原の美術制作のスタートは、41歳のとき。職場の美術部の先輩であり画家としても活躍していた須田三代治とデパートの展覧会でフランスの抽象画を鑑賞した際のことでした。一原は、「これなら僕にも描けるかもしれない」という一言から須田から油彩道具一式をプレゼントされます。その後、油彩画の制作はなかなか思い通りにゆきませんでしたが、油絵具のパレットに現れた図像に興味をいだき、それを紙に摺り取るという偶然のきっかけから、独自のモノタイプ版画を発見します。
本展は、一原の最初期の油彩画から、一原の創作のスタートを探ります。