自然界に存在するものを創作の始点とし、先端技術を駆使した創作活動で世界的に高い評価を受ける藤原大。藤原は、アート、サイエンス、デザインの領域をつなぎ、身体(フィジカル)と仮想空間(サイバー)の融合が進む現代社会について、早い段階から思考し表現しつづけています。
国内の美術館で初の個展となる本展では、デザイナーとして知られる藤原の新たな側面に光をあて、時代の先を見据え制作してきた未発表を含むアート作品を展観します。
掃除機を用いてモンゴルの草原やニューヨークの地下鉄で収集したものを素材にしたテキスタイルからゴミの概念の変換を試みる作品や、描く手段の拡張としてドローンを使い布にパターンを描いた作品。自然界の色を採取し色見本をつくる独自の手法“カラーハンティング”による「湘南の色」をもとにデザインした江ノ電の車両や、無印良品、カンペールなど国内外の企業と手がけたデザインの数々もあわせて紹介します。
さらに、本展のため、茅ヶ崎で集めた素材でつくるセーターや、茅ヶ崎のシンボルともいえる烏帽子岩をカラーハンティングしたアロハシャツも初公開します。
常に自然を意識しながら創作をしてきた藤原は、人間と自然の関係性について「西洋における自然と人が対峙するものではなく、また東洋における自然と人が一体となる考えでもない。自然は人の中にしか存在しないものであり、人の周りや外にあるものではないと考えてきた」と言います。
価値観の変換を試みる画期的なアイデアとモノづくりで人の感性を揺り動かしつづける藤原の作品を通し、刻々と変化する社会における人間と自然の関係性を新たな視点から見つめ、100年先の未来を考える機会とします。