昭和の洋画壇の巨匠、小磯良平。本展では、その気品にあふれ卓越した写実的な表現力がいかに日々培われていったかを、代表作とデッサン類で辿ります。小磯良平は対象=モティーフと親密に心を交え合わせ、想いを通わせながら、モティーフの内的世界を見つめ、ゆたかな「物語」をそこに宿らせてきました。
外界を感受することで生じる思索が源となった作品を介して、私たちは小磯良平の日常とその心に、つぶさに触れることになります。表層的な写実という領域、あるいはその系譜にとらわれることなく、小磯良平でなければなし得なかった絵画表現。彼が創造した「物語」の奥深さと豊かさを、味わっていただきたいと思います。
本展では、これまでに公開の機会が少なかったデッサンも幅広く公開いたします。61点の油彩作品に加え、デッサン、版画など約200点(展示替えあり)と、小磯良平展としては最大規模の展覧会となります。