泉屋博古館東京(せんおくはくこかんとうきょう)が所蔵する住友コレクションの中からフランス絵画と日本近代洋画を厳選して紹介する展覧会を開催します。
住友家15 代当主、住友吉左衞門友純(すみともきちざえもんともいと)(号春翠〈しゅんすい〉1864-1926)、住友寛一、そして16代当主住友吉左衞門友成(ともなり)が収集したコレクションには、すぐれたフランス絵画と、それに対抗するだけの質の高い日本近代洋画の名品が揃っています。とりわけ春翠が欧米視察旅行の際パリで購入した2点のモネは、明治30(1897)年という早い時期での日本への印象派の到来という、特筆すべき意味を持つ作品です。この2作品は、第二次世界大戦時の空襲で焼失した住友家の須磨別邸に飾られ、当時の画家たちに鑑賞の機会を提供しました。住友の西洋絵画コレクションはモネから始まったのです。
本展は、東西の近代美術の潮流を縦軸にして、住友家の人々が収集した名品を紹介するとともに、フランス絵画と日本の近代洋画の比較を試みる「フランスと日本 美の対決」の章を設けています。日本に請来された西洋絵画と対比させることで見えてくる、模倣を越えて独自の絵画を深めようと模索した日本の洋画家たちの努力を浮き彫りにする機会になればと考えています。