奈良県桜井市にある聖林寺(しょうりんじ)の国宝十一面観音菩薩立像(じゅういちめんかんのんぼさつりゅうぞう)は天平彫刻の名品で、日本を代表する仏像のひとつです。法隆寺の国宝地蔵菩薩立像などとともに、江戸時代までは同市の大神神社(おおみわじんじゃ)にありました。大神神社は本殿を持たず、三輪山(みわやま)を拝む自然信仰をいまに伝えますが、奈良時代以降は仏教の影響を受けて神社に付属する寺(大神寺、後に大御輪寺(だいごりんじ)に改称)や仏像がつくられました。本展では、大御輪寺にあった仏像や、大神神社の自然信仰を示す三輪山禁足地の出土品などを展示します。十一面観音菩薩立像が東京で展示されるのは初めてです。比類ない美しさをご覧ください。