もっと伝統工芸 備中漆展2022ならびに漆芸家 山口松太追悼展を開催いたします。
山口松太(1940-2020)は岡山県倉敷市に生まれ、昭和41(1966)年に香川県漆芸研究所で基礎を学んだ後、岡山の漆芸家・難波仁斎に師事します。昭和43(1968)年日本伝統工芸展に初入選すると、以後同展、同支部展、同部会展等に出品、若くしてその才を発揮し、本県工芸界のホープと期待されました。様々な漆芸技法を学ぶ中で琉球漆器の伝統技法である堆錦と出会い、備中漆を用いて独自の「油枩堆錦(ゆしょうついきん)」を完成、平成7(1995)年岡山県指定重要無形文化財保持者に認定されました。平成11(1999)年には日本伝統工芸展で総裁賞を受賞しています。
山口は自身の制作に励むとともに、ダム工事による漆畑の水没や高度経済成長による職人の出稼ぎ、後継者不足などで衰退していた備中漆の復興にも尽力しました。本展覧会では、令和2(2020)年10月に逝去した山口の総裁賞受賞作を里帰りさせ、県内外の多彩な漆芸作品を展示するとともに、新見市で採取した復興漆を用いて制作された日本工芸会中国支部の漆芸・木工芸会員らによる新作を展示いたします。復興漆の採取から10年、備中漆が持つ透明感や美しい艶の魅力を改めてご鑑賞いただけましたら幸いです。