1935(昭和10)年に紋別で生まれた手島圭三郎は、教職のかたわら木版画の制作を続け、全道展、日本版画協会展で作品の発表を重ねました。1977(昭和52)年に教職を辞し木版画制作に専念し、以降は北海道に生きる野生動物を題材にした絵本の制作を重ね、現在39作の絵本が出版されています。
多くの絵本では、作家が挿画と共に文章も手がけ、いずれも北海道に生息する野生動物が題材とされています。絵本原画の数々は木版表現の力強さと繊細さを兼ね備えており、静寂感の漂う画面には大自然の神秘と北方のロマンティシズムがあふれています。生き物の生態描写を下敷きに神話や伝承、家族の愛情といったテーマの物語がつづられた絵本の数々は国内外で多数出版され、絵本に関する賞を受賞しました。
本展は4つのテーマに分けて手島圭三郎の絵本の代表作の原画を出品し、彼の木版画の世界とその魅力をご紹介します。