郷土の芸術文化史をたどり、庄内にゆかりのある作家を紹介する展覧会「庄内の美術家たち」では、これまで幕末から明治にかけて生まれた日本画家をたどり紹介してきました。
シリーズ第17回となる今回は、明治30年代から大正にかけて鶴岡に生まれ、昭和という時代に再興日本美術院展(院展)で活動した太田大仙子、真島元枝、成澤翠映を取り上げます。
明治から大正にかけて、日本画の世界は伝統的な表現から現代的な表現へと移り変わっていきました。その後の昭和という時代のなかで、太田大仙子(おおただいせんし)(明治34~昭和24)は日本南画院で活動し、明治初頭に流行した南画の世界で制作しましたが、1939(昭和14)年には転身し、院展に二度、新文展に一度入選しています。
真島元枝(ましまもとえ)(明治42~平成6)は学生時代に太田聴雨に師事し、1938(昭和13)年の第1回新興美術院展に出品し、同展では七度入選しました。戦後の1946(昭和21)年には院展に初入選し、以後出品を重ねて1954(昭和29)年に院友となります。前田青邨門下の一員となるなど同院で研鑽を積みながら、1975(昭和50)年まで院展に出品を重ねました。
成澤翠映(なりさわすいえい)(大正4~平成10)は東京美術学校で結城素明に師事し、1940(昭和15)年から日本画会や紀元二千六百年奉祝美術展、日月社展などに出品し、1953(昭和28)年に日月社会員となっています。院展へは1955(昭和30)年に初入選し、1958(昭和33)年には院友となって、1971(昭和46)年まで院展に出品しました。
本展覧会では、伝統的な日本画から現代的な日本画へと移り変わる時代に、新しい独自の画風による日本画の創作に取り組んだ三人の画家の作品、約30点を展覧します。