古くから「もののあはれ」の美意識に代表されるように、自然に触れることでしみじみとわき起こる繊細な感性が日本の芸術を育んできました。美術においては季節への細やかな感覚が、様々な絵画や工芸品に表現されてきました。
鏑木清方もまた、季節が織りなす自然の美に感興をそそられ、それを創作の原動力としました。そして秋から冬へと移りゆく風情を好んで作品に表したほか、虫の音や雪景色など、その季節特有の美を随筆や詩句でも讃えています。
本特別展では《明治は遠し 巷の吹雪》や《草秋帖》など、秋冬の情趣に対する清方の細やかな感性が感じられる作品を中心に、清方が紡いだ詩句も初公開資料を交えて紹介します。