2020年1月から3月まで台湾・高雄Pair-2で滞在した時に制作した映像インスタレーションを展示します。偶然出会ったインドネシアからの移民の漁師と時間を過ごす中で、彼を取り巻く環境には様々な「黒」が存在し、彼はそこを漂う「赤」だと感じました。また港で見た多くの鉄の漁船は赤く錆びつき、生の肉体を見せつけるようでした。鉄はもともと鉱物からできていますが、サビは人工物となった鉄が本来の姿に戻る過程において起こる現象だといいます。故郷から遠く離れた海で生きる人間の身体と船は、暗闇に浮遊する赤として重なりました。