江戸時代の天明・寛政期(1781~1801)は、錦絵が最も華やかに展開した時代で、浮世絵の黄金期とも呼ばれます。その黄金期を代表する絵師の一人が、美人画で一世を風靡した絵師・喜多川歌麿(1753?~1806)です。歌麿は背景に雲母摺を施した豪華な錦絵や、女性の顔をクローズアップして表情豊かに表現した「美人大首絵」で注目を集め、繊細な描写による美しい仕草や、粋でオシャレな出で立ちをした女性像は、たちまち大人気となりました。
また、同時期に美人画と並んで人気を博したのが役者絵です。役者の一瞬の表情を大胆に捉えた東洲斎写楽(生没年不詳)や、歌舞伎ファンの理想をかなえた歌川豊国(1769~1825)らの役者絵は、今でいう人気タレントのブロマイドとして、庶民がこぞって買い求めました。
本展では、第1章《歌麿とその弟子たち》、第2章《栄之とその門人》、第3章《美人画の流れー黄金期の浮世絵 天明・寛政期を中心として》、第4章《美人画の流れー爛熟の化政文化 文化・文政期を中心として》、第5章《役者絵》、第6章《肉筆画》の6章構成で、歌麿とその弟子をはじめ、鳥居清長や烏文斎栄之、謎の絵師・写楽、勝川春章らの勝川派や豊国率いる歌川派など、個性豊かな浮世絵師らによる美人画と役者絵に、肉筆画を含めた135点を一堂に展覧します。
ぜひこの機会に、浮世絵黄金期の名作をお楽しみください。