この展覧会では、香川県文化会館の所蔵作品を鑑賞する機会を増やす取り組みのひとつとして、昭和初期から戦後にかけて川端龍子が主宰する青竜社同人として活躍した日本画家・福岡青嵐の描く今から100年前の讃岐の風景画を展示します。
熊本県に生まれ明治36年(1903)に東京美術学校を卒業した福岡青嵐は、善通寺で軍医をしていた兄を頼って香川を訪れ、明治36~39年までの4年間滞在し、その間に讃岐の風景・人物を墨と淡彩で描いた写生画を残しました。その作品はおよそ150点にのぼり、明治時代の讃岐の面影を知る貴重な資料でもあります。青嵐は善通寺、満濃池、屋島、小豆島など県内の名所を描く一方、お遍路さんや善通寺に駐屯する軍人など、人々のいきいきとした姿を描きました。本展では、福岡青嵐が描いた風景画を中心に、明治から昭和戦前期の香川県内の写真資料などと合わせて、明治の讃岐のおもかげを紹介します。