平安時代に中国から伝わった花鳥図は、その名のとおり花と鳥を画題にした絵画です。日本では身の回りにある草木や生き物、四季折々の風物を対象に、風雅や風流などの精神性も含みながら、日本の風土の中で独自に発展してきました。
花鳥図は室町時代の彩色襖絵や桃山時代の金碧障壁画、江戸時代には円山四条派や琳派、浮世絵師らにより描かれ、日本の様式美を象徴する画題として現代に至るまで受け継がれています。
平松画伯は、50代の頃にクロード・モネの作品に出会い、日本人とともに通する感性を見出したといいます。ライフワークとしてフランス印象派のジャポニズムを研究し、その成果を自身の作品により表現する中で、日本の美の本質である「装飾性」を再認識するに至りました。近年では、日本文化の「飾り」「様式」「遊び」を意識した華麗な作品を生み出しています。
今回の企画展では、平松作品の中から動植物を描いた作品を展示し、独自の視点でとらえた花鳥図をご覧いただきます。