鎧と人間をテーマに、現代性や人間性を問いかける美術作家、野口哲哉(1980年、高松市生まれ)。多様な文化や感情が混ざり合うユニークな世界観は国内外の幅広い層に支持されています。鎧を着た人物が所在なくたたずんでいるかと思えば、風船を見つめたり、空中に浮かんだり、時にはブランドロゴの付いた鎧を自然に着こなしたり。一見ユーモラスに見える作品は、どこか物悲しい雰囲気を帯びており、そこには目まぐるしく移り変わる文明の中で、喜びや苦悩といった矛盾を抱えながら生きる人間の姿が鋭い視点で映し出されています。本展では、鎧をまとう人々の彫刻や絵画など、初期から新作まで代表作約180点で、野口哲哉の幅広い思考と精緻な作品に込められた優しさと悲しさ、人間への好奇心にあふれた世界を紹介します。