今から9年前に、郡山市の妙音寺遺跡から、縄文文化の粋ともいえる多くのすばらしい土器が掘りだされたことは、私たち郡山市民にとって、大きな驚きと発見でした。
日本の縄文土器は、世界に誇れる立派な美術作品であると言えるでしょう。その自由奔放で、ダイナミックな力強さにあふれた造形美は、現代人の心を魅了して止みません。
なかでも、今から5千年~4千年前までの縄文時代中期は、縄文土器の造形力が最高潮に達した時代でした。新潟県から出土する「火焔土器」は特に有名ですが、東北地方、さらに群馬県、長野県、山梨県などの地域にも、芸術性豊かなすばらしい土器が生まれています。
縄文土器の最大の魅力は、類まれなその装飾にあるといえるでしょう。渦を巻き、うねり、時には水煙のように盛り上がる力強い波動。また、子孫繁栄と豊穣の祈りが込められた土偶など、その造形は心の奥底から湧き上がる深い感動を与えてくれます。
本展は、縄文土器を“美術”という視点で“美術館で紹介しよう”という日本で始めての企画です。第一部に、郡山市の妙音寺遺跡の出土品を中心とした、福島県の土器60点を紹介し、また第二部では、国宝・重要文化財を含む、全国から出土した縄文土器や土偶の名品約50点を一同に集め、その魅力を、驚きとともに楽しんでいただきたいと思います。