池田良二(1947-)は根室郡根室町(現・根室市)に生まれました。武蔵野美術大学で油彩を学んだ後に銅版画の技法を独学、フォトエッチングを中心に様々な銅版技法を駆使し、アントニ・タピエス展に刺激を受け、タピエスをオマージュしたシリーズを制作します。1985年、母の死に伴い帰省した際に廃墟となっていた旧落石(おちいし)無線送信局と出会い、その外観と内観を撮影した写真を使用しはじめます。2004年以降は、「円環」をテーマに、焔(ほのお)、石、卵を使ったインスタレーションを撮影した写真を取り込むなど、生と死、存在と不在を暗示する独自の作風を確立しました。
本展では、昨年度当館で新たに収蔵した作品を交えて、初期から近作にいたる池田良二の版画作品を紹介します。