富士山はその美しい姿から古来より日本人の心をとらえてきました。江戸時代の人々にとっても富士山は信仰の対象であるとともに、江戸の町から見ることのできた日常の生活の中にある景色でした。
富士山を描いた浮世絵では葛飾北斎「冨嶽三十六景」が有名ですが、歌川広重も富士山を描いており、横大判「不二三十六景」(1852〈嘉永5〉年頃)と竪大判「冨士三十六景」(1858〈安政5〉年頃)の2つのシリーズが出版されています。
広重は、それぞれのシリーズで、富士山とともに季節の移り変わりや庶民の姿を描いています。
本展では広重の「不二三十六景」、「冨士三十六景」から、様々な魅力の富士山をご紹介します。