本展観では、館蔵の縄文時代から江戸時代までの日本のやきものと、特別出陳の近代京焼を展示します。日本のやきものの歴史は、一万年以上前より作られたという縄文土器より始まります。土器の時代が長らく続いた後、古墳時代にはろくろ成形し還元焼成する須恵器が、奈良時代には人工的に釉薬をかける施釉陶が登場します。中世には、優美な施釉陶も作られますが、素朴な焼締陶が多く作られ、日常の雑器として広く用いられました。桃山時代には、茶の湯の隆盛にともない、斬新な茶陶が盛んに作られ、やきものの世界が活性化します。江戸時代には、まず有田において磁器の焼成に成功し、日本各地で様々な陶磁器が生産されました。
特に京焼では、江戸時代前期、野々村仁清によって陶器に上絵具で絵付けする色絵陶器の技術が大成されます。多くの典雅な色絵陶器が作られるとともに、江戸時代後期には磁器の焼成も可能になり、文人趣味的な清雅な器も好まれました。明治維新後には衰退の危機もありましたが、技術やデザインを磨いて進化し、多様な魅力を持つ近代京焼の作品が生み出されました。
日本のやきものの悠久の歴史とあくなき創造にご注目ください。(担当 宮崎もも)