インドで生まれ、中国から日本へ伝来した仏教は、やがてこの地の、緑深い山々や、苔むす巨岩に降臨する神々と融合して、人々の信仰世界を彩り豊かなものにしていきました。
本展では、この国の風土に根付き、長い間、人々の祈りを受け止めてきた仏教美術を展示します。仏の姿を繊細な筆致でとらえた絵画や、贅を尽くした装飾経などに加え、仏の姿を刻んだ小さなスタンプを捺して作られた仏教版画も展示します。
そして、本展の最期をしめくくるのは江戸時代の仏教美術。大津絵や、歌舞伎芝居の人気演目にもなった法華経の功徳を説く「道成寺縁起」の絵巻など、その庶民的でユーモラスな一面にも光をあてます。