歴史をさかのぼると人間は幾度も未曾有の事態を経験してきました。その度に日常や価値観の大きな転換を迎えながらも、人は文化を手放すことなく新たな思想や芸術表現を創出し続け、今日までの歴史を織りなしています。
2020年のCOVID-19のパンデミックから約一年。世界的な脅威を乗り越えるために新たな生活習慣が提唱され、今や就業や娯楽をはじめとした生活様式も大きな変化を遂げています。そのさなか、美術館という存在もまた様々な課題に直面しながら、過去から継承した文化との出会いの場として、そして多様な価値観を発見する場としての新たな在り方を模索し活動を継続しています。
本展覧会では諸橋近代美術館のコレクションの中からサルバドール・ダリの他、シュルレアリスムの作品を中心に、20世紀において日常の転換から生じた精神活動や芸術表現を紹介するとともに、PJ クルックの作品群を通して2020年以前と現在の生活を比較します。
また、2019年に当館コレクションへ新たに加わった《ステッピング・アウト》、《メタモルフォーゼ》(ともにPJ クルック)の2点を初公開します。