ヴィルヘルム・レームブルック(1881-1919)はドイツの彫刻家です。20歳でデュッセルドルフ・アカデミーに入学、古典的な作品を手がけますが、やがてロダンやマイヨールなどの作品を通して近代的な造形に目覚めてゆきます。29歳でパリに移りますが、第一次大戦に伴いスイスに亡命、次第に深い抑うつ状態に陥り、ベルリンのアトリエにおいて38歳で自ら命を絶ちました。作品は憂いをたたえた夢見るような女性像や高みを目ざす超人的な男性像から、次第に絶望感の漂う人物へと変わってゆきますが、あたかも作家の精神の軌跡と重なり合うかのようです。
本展は、彫刻家の故郷にあるヴィルヘルム・レームブルック美術館、ならびにご遺族の全面的な協力により実現した日本初の大規模な個展です。初期から晩年にいたる彫刻の代表作36点に絵画、素描、版画等を加えたおよそ120点により、彫刻家の全貌に迫ります。本展を通して、絶望しつつも人類に対する願いを最後まで捨てなかったレームブルックの祈りにも似た思いを感じ取っていただければ幸いです。