現在、世界で最も動向が注目されている報道写真家のひとりがセバスチャン・サルガドでしょう。彼はこれまでにも経済学や現地データに基づく徹底した取材力、そして圧倒的な作品の表現力を持って、世界中で起こる「現実」を私たちの目の前に突きつけてきました。昨年、日本で開催された「EXODUS」展では長年に渡って取材を続けている移民問題をまとめたシリーズを発表。大きな反響を呼んだばかりです。
「ESSAYS」: 試論――と題されたこの展覧会では、これまでに発表されたシリーズの代表作とともに、現在、進行しているプロジェクトを展示し、現時点におけるサルガド氏の活動の全貌を紹介します。また、2001年から手がけているユニセフと世界保健機関の《ポリオ撲滅キャンペーン》のために現地取材したシリーズは当館で日本初公開となります。ここで観たものを他者の歴史にしてしまうか、自己の現実とするか、きっと問われることでしょう。