三岸節子にとっての画壇へのデビュー作は20歳の『自画像』。1925(大正14)年の春陽会第3回展で初入選した1枚です。自らを写し取り、そこには当時の自らの強い意志が込められています。この後、70年余の三岸節子の画家としての原点となった作品です。
自画像は、制作者が自らに向かい合い、鏡の中の自分とキャンバスの上の自分が行き交い、自己の心境を主観的にとらえ、描くという格闘をした結果であり、個々の画家のその時々が表現されているといえます。
この展覧会では作家たちの若き日の自画像を中心に展示します。三岸節子に影響を与えたり、若き日からさまざまな時期にかかわりを持った画家たちを中心に、明治期から現代に至るまでの自画像を展示します。それぞれの時代における表現法のみならず、それぞれの画家たちが絵画に向けている“おもい”、“決意”を59点の作品から見ていただきます。