河合誓徳は1980年代以降、彼の代表作である絵画的な風景文様や、釉裏紅の美しい作品を多数制作しましたが、これらの作品には、文様や色を最大限に活かすべく、"形"にも細やかな工夫が凝らされています。
今展では、河合が1980年以降に制作した作品を、形に焦点をあて展示します。1960年代から1970年代、イタリア現代彫刻に関心を寄せた河合は、特に "形"にこだわって制作を続けていました。その経験を通して培われた河合の"形"への意識や造形感覚は、今回展示する作品からもみてとれます。例えば、《草影》(1995年)では描かれた風景と呼応するようになだらかな凹凸がかたち作られ、《行雲》(1989年)などの壷の作品では、風景描写をひきたたせるため胴回りをへん平な形にするなど、河合独自の造形がみてとれます。
隣り合う作品を見比べ、美しい風景文様や色はもちろん、河合の"形"へのこだわりもお楽しみください。