棟方志功が人を惹きつけて止まない魅力は、作品のダイナミックな造形力もさることながら、創作に対するひたむきな姿勢や、生命を讃え、その美を探究し続けた真摯な人間性にもあるといえましょう。ゴッホを目指して画家の道を志し、他に類をみない独自の芸術世界を築き上げた棟方志功は、20世紀の日本美術に大きな足跡を残した偉大なアーティストであったといえます。
本展では、棟方志功の初期から晩年までの作品を総覧してその画業を顧みると同時に、一途に仕事に打ち込んだ“人間・棟方志功”の姿を浮き彫りにしていきます。板画の代表作を中心に、油彩画や倭絵(肉筆画)、書などから、自ら「芸業(げいごう)」と呼んだ棟方志功の幅広い創作活動を展観します。