伊丹市立美術館では「人間の権利にもっと光を!ヒューマンライツ写真展」を開催いたします。
当館はこれまで人権に関する様々な取り組みを展開してきました。しかし私たちを取り巻く状況は地球規模の大きな変革のときを迎え、人間の危機と不安の様相も以前にも増して深刻なものとなっています。
このような状況下で今いちど人類社会の最も基本的な権利である「人間の権利」について、その原典ともいえる「世界人権宣言」の条文のもつ深い意味に示唆を求めることの意義は大きいと考えます。
宣言は「すべての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である。人間は、理性と良心とを授けられており、互いに同胞の精神をもって行動しなければならない。(世界人権宣言 第1条)」と力強くうたいあげています。
本展は、ヒューマニズムの写真家セバスチャオ・サルガド、ジェーン・エヴリン・アトウッド、デーヴィド・バーネットをはじめ、コンタクトプレスイメージに所属する国籍と視線を異にするおよそ35名の写真家たちによる1970年代から現在までの世界の動きから、人間の権利の問題を取り上げた写真140余点を条文に沿って紹介します。それらは民族紛争、殺戮、難民、飢餓、テロ、失業、家族や子どもなど、様々の人権を問うテーマを検証しようとしています。作品には世界を揺るがしたアメリカ同時多発テロ、さらにイラク戦争など現代が直面する問題も含まれています。
この展覧会から「世界人権宣言」の精神と、私たちを取り巻く人権の抑圧や尊厳についてひとりでも多くの方々の関心が寄せられることを願っています。