10/15~12/20企画展「臨春閣―建築の美と保存の技―」を開催します。
三溪園を創設した原三溪は、当時、豊臣秀吉が建てた聚楽第の遺構とされていた臨春閣を「桃山御殿」と呼び、秀吉ゆかりの美術工芸品で室内を装飾して日々の生活を楽しみました。実際にここでは、長男・善一郎の婚礼や三溪自身の葬儀が行われ、園内にある建物の中でも特別であったことがわかります。
この臨春閣では現在、約30年ぶりとなる屋根葺替工事を中心とした重要文化財建造物保存修理工事を行っています。
また今回の工事では併せて耐震補強を行っています。これに伴い、屋内の欄間やそれに附属する色紙などを取外し、状況の芳しくない一部は修理を行いました。特に、壁に埋め込まれていた「板絵十二支図額」は類例がなく貴重な作品で、詳細な調査が行われました。本展ではこれらの美術工芸品の数々を、臨春閣内に戻す前に三溪記念館で特別に公開します。このほか、30年前に高度な技術を要するコロタイプ印刷をもって複製に置き換えられた障壁画も、今回初めて原本と並べて展示します。
文化財建造物を守り伝える保存修理の技術もまた、貴重な美術工芸品とともにこの度の工事では不可欠な要素です。本展では、修理工事の過程とともに、それらの技術も作品や資料を通してご覧いただけます。