伝統こけしの世界では、昭和10年代までに(第二次世界大戦以前)作られたものを、「古作こけし」と呼び、残る数も少ないことから希少な逸品として大切にしています。
古作こけしは、長い年月の中で生き残ってきた作品だからでしょうか。一つ一つが力強い生命力を宿しています。パワーがあったから残ったとも言えますでしょうか。何かを訴えているようです。
東北で生まれて東北で育まれてきた伝統こけし。こけしには古き日本の心が宿るとも言われています。多くの人々が、その魅力に魅かれてしまう所以でありましょう。今や外国にも愛好家が増えています。
古来より、東北というところはいったいどういう場所なのでしょうか。縄文以来の風土を色濃く残し、誰もが厳しい自然に対峙し、踏ん張り生きてきたところ、古き日本のこころを今日まで残し、伝える地域であるといえるでしょう。だからこそ、多くの人々がこの「みちのく・道の奥」に何かを希求しようとしてきたのかもしれません。
揺れ動く時代、変わりゆく今こそ、東北で生きてきた人々の心がつまった「古作こけし」に触れて頂ければ幸いです。