日本美術院について:日本美術院は、近代日本美術の推進者である岡倉天心が橋本雅邦らとともに明治31年春に創立した日本画の研究団体です。東洋美術の正しい伝統を基礎として維持し、新時代の新美術を開発、樹立することを目指したその意欲的な活動は、当時の日本画壇に清新な息吹を与えました。一時、運営不振に陥り、明治39年には谷中初音町の研究所を茨城の五浦に移しましたが、大正3年秋には前年に没した岡倉天心の意思を受け継ぎ、横山大観、下村観山らによって再興されました。その後、日本美術院は安田靫彦、今村紫紅、前田青邨、奥村土牛など近・現代日本絵画史を彩る俊英たちを数多く輩出し、創立後100年を超えた現在も日本画壇の中心的な研究団体として活躍を続けています。
今年の院展:再興後、第88回を迎える秋の院展は、東京会場を幕開けとして全国12会場を巡回します。岡倉天心誕生の地である横浜では、今年で17回目の開催となります。本展では同人作品32点をはじめ、受賞作品、神奈川県出身および在住作家による入選作品を含む、総計91点を展覧いたします。大家から初入選の若手作家までの作品が一堂に会し、日本美術の今の姿を感じ取るまたとない機会といえましょう。