アンリ・マティス(1869-1954)の《ジャズ》とマリノ・マリーニ(1901-1980)の《「春の祭典」の登場人物たち》。ふたつの版画シリーズは、色と形の組み合わせ、身体の動きから生まれた表現、舞台美術との関連などたくさんの共通点があります。
サーカスなどをテーマにしたマティスの作品は切紙絵に基づいています。色紙をハサミで切り抜いて生まれた形を自由に組み合わせ、まるで音楽のジャズのように即興的な表現が用いられています。マティスがバレエの舞台衣装デザインを手がけた際に試みた、鮮やかな色づかいや自由な造形作業の影響がみられます。
マリーニの作品はストラヴィンスキー作曲のバレエ《春の祭典》に取材しています。マリーニは1972年、ミラノ・スカラ座で同作が公演された際に舞台美術を手がけました。ダンサーの躍動的なシルエットが幾何学的な形とともにリズミカルに描かれ、まるで絵の中から音楽が聞こえてくるようです。
カラフルな色彩と様々な形が今にも動き出しそうな、ふたりの世界をお楽しみください。