晴天、河原へ向かう。
歩きながら、足をとめながら、川の様子を楽しむ。
橋の上から、堤防から、河川敷から、
眺める位置によってとても雄大に見えることもあれば、
手の届く距離に親近感をおぼえたりもする。
しばらくは取り留めなく眺めることしかできない。
街中の川にはいろんな人やいきものが集まり、
それらが立てる音や声は重なり合って、漠然と耳に入ってくる。
笑い混じりの親子の会話、こちらへ迫るランナーの足音、
驚く鴨の羽音、急ぐ犬の呼吸。
音の重なりからそれらを抽出し、聞き耳を立てるように
焦点を合わせてみる。
常に流れる川や雲と、目前を行き交うものを描き留めるのは忙しい。
執着しながら割り切りながら線を選んでいく。
こうして画面に残った線を頼りに、河原にいた時間そのものを
描きたいと思う。