ジャンルや年齢を問わず、学芸員が推薦した高知ゆかりの作家を紹介する新たな展覧会シリーズ「アーティスト・フォーカス」。初回では、須崎市出身の画家・竹﨑和征の個展を開催します。
竹﨑は一貫して、自身を取り巻く「風景」を手掛かりに表現を深めてきました。自らを画家と自認する通り、竹﨑の制作ベースとなるのは絵画です。いっぽうで、画面に紐や傘といった既製品を取り付けたり、裁断したスケッチを編み合わせたりと、その絵作りは描くだけにとどまらず、複数の要素を足し引きしながら構築されます。風通しの良い道、メダカが生息する溜池、夕暮れにうかぶ山影…。日常生活で目にする風物から得た気付きや思索をもとに繰り出される作品は、見る者の五感を揺さぶる多様な表現語彙に満ちています。
展覧会名の「雨が降って晴れた日」は、現在竹﨑が拠点とする香川県丸亀市の風景に取材した新作のタイトルから取られました。本展は、丸亀や高知、須崎といった、画家にとってなじみ深い土地から着想した未公開の新作を中心に構成されます。
絵画ならではの豊かな描線と意外性のある素材。2次元と3次元の要素が混在する竹﨑の表現は、私たちの記憶に息づく断片的な風景のイメージとともに、言葉に尽くせない身体的な感覚をも呼び起こすでしょう。