『肖像写真は、一つの人間像でなければならない。その人物の過去と現在をまざまざと物語る、いわば自叙伝でなければならない。いや、非常にすぐれた肖像写真ならば、現在を通して、その未来をまで表わすかもしれない。』(土門拳)
「風貌」は土門拳の代表作のひとつとして知られる人物写真の傑作です。昭和を彩った各界の巨匠たちの魂が、写真の奥から浮かび上がってくるようです。
今回の展示はその中でも、比較的後年(昭和22~36年)に撮影されたもの、特に女性を撮った作品を数多く展示いたします。女の撮影は苦手といわれた土門拳ですが、彼の撮る人物は、女性も男性も皆、それぞれの厳しく美しい人生を背負って、土門のレンズにとらえられているようです。
黛敏郎、三島由紀夫、吉行淳之介、森繁久弥、岡本太郎、岡田茉莉子、奈良岡朋子、笠置シヅ子、杉村春子、円地文子、佐多稲子、野上弥生子・・・・・。あなたの好きな貌(かお)に会いに来ませんか?