土門拳は、昭和52年、68歳の時「土門拳自選作品集」(世界文化社)を刊行しています。写真を撮り始めてから約40年。土門曰く、「ただそこにあるように、あるものがただ写っている」何万枚という写真の中から、自分の好きな写真、入れたい写真を選んで載せた写真集でした。
今回の展示はライフワーク「古寺巡礼」の中から、その「土門拳自選作品集」に選ばれた作品を中心に62点を展示いたします。
作家の井上靖氏は、土門拳がカメラを持って対象にむかっている姿を『命がけの真剣勝負』『シャッター音はさながら裂帛(れっぱく)の気合』と表現しました。撮る土門拳と撮られるものとの闘い。そうして生まれた作品には、日本の文化の高さと美しさが息づいています。