1951年に敗戦国日本で人々の精神を豊かにするようにとフランスが送リ込んだ美術展の中でも、マチス自身が監修した「マチス展」は当時6才の私には一本の線までも記憶に残るものでした。その展覧会の展示作品は教会内部の壁面の下絵だったのです。1969年のヨーロッパ美術研修旅行で訪れた南仏ヴァンスでロザリオ教会として実現されていました。
中世のロマネスク、ゴシック、バロックと多くの教会を見ましたが、その時代その時代で相応しい祈りの空間があることを感じ、今の時代だからこそ自己と向き合う祈リの空間を作りたいと決心しました。(佐々木宏子)
青は薄くても濃くても青
1cm四方の青より5cm四方の青のほうがより青を感じさせる
青は深い精神を表すのに一番適した色
[青のあいだ]は精神性を重視した象徴的な捉え方の造形であり、強靭なものをひらがなの「あいだ」で現している。1965年、20才の佐々木宏子はルチオ・フォンタナ[Cocetto Spaziale 空間概念]有から無に触発され、以来半世紀、[青のあいだ]無から有に向かう。コバルトブルー顔料一色、一つの技法、天地を暗示する一つの形で極限まで削ぎおとした抽象表現で希有な芸術領域に到達。
[青のあいだ]「青の精神-無から有」タブローとマニフェストを初個展で発表。カタログ(1977・パリ国立図書館収蔵)に[青のあいだ]の造形思考「無意識的な自然と意識的なものUnconscious Nature and Conscious Object」を表明。1999年には作品集[SASAKI HIROKO](美術出版社刊)を出版。フランス、イタリア、ドイツ、スイス、アメリカの国立美術館・図書館、Bibliotheque Kandinsky-Centre Pompidou等、海外の17ヶ所に収蔵。